201302251456374bf

私にとって『横道世之介』は2013年に映画館で鑑賞した映画の中で最も大切な映画である。

もちろんブルーレイを購入し、いつでも鑑賞できるようにしている。私がひどく落ち込んだ時や、どうしようもない不安に駆られる時には、必ずこの映画を手に取って鑑賞したいと思っている。

『横道世之介』は私達の側に寄り添うような作品なのである。
言い方を変えれば、『横道世之介』という作品が、ではなく、横道世之介という一人の青年がいつも私の側に寄り添っているのかもしれない。
綾野剛が演じる同性愛者の男性が、大学生時代のことを思い出して恋人に話している時に、「横道を知っているだけで、知らないお前よりだいぶ得した気分だよ」と言ったセリフがこの映画の全てを言い表していると言ってもいい。

私は監督の沖田修一の作品が大好きだったので、公開されてすぐに劇場に観に行ったが、まだ観ていない友人よりだいぶ得した気分であった。
みんなに観に行ってほしいという気持ちの反面、誰にも教えたくないという矛盾した気持ちになった。
それほど『横道世之介』は私にとってかけがえのない作品となったのである。横道はどこか気の抜けた大学生。いい奴というよりお人好しな奴。うざくてうっとしい奴だけど憎めない愛らしい奴。決して横道のような人にはなりたいとは思わないが、横道のような友達がほしいと思う。記憶を辿ってみると、みんなにもきっと横道のような存在がいただろうと思う。

ずっと忘れていたけど、「ああ、そういえばあんなやついたなあ」と思い出して、一人でクスクス笑ってしまうような存在がきっといるはずである。
私の記憶にもきっと横道みたいな友達がいたはずだ。この映画は忘れている過去の愛する友人を思い出すきっかけを私達に提供してくれている気がする。