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全盛期の日本の映画会社は、今日のテレビ局とは比較にならないほど各社の独自カラーが鮮明でした。たとえば、東映は大衆娯楽重視、不良性感度がもっとも強く、大手でポルノ映画製作に先鞭をつけたのは日活ではなく同社です。面白いことに、こうしたヤクザ映画や刺激路線の推進役を担ったのは同社でも京都撮影所の方で、東京撮影所原の初期に今井正作品や「警視庁物語」で知られた伝統もあったのか、若干真面目な気風がありました。もちろん程度の差ではありますが。

この東西の差は大映にもありました。東映の明朗大衆時代劇とは異なった陰影の濃い、映像に凝った時代劇を得意とする京都撮影東京所に対し、撮影所はじっとりと暗い現代劇、メロドラマを得意としていました。

東映の大衆、刺激路線に対し健全市民路線をもっとも強く打ち出していたのが東宝で、その看板路線はサラリーマン喜劇、文芸映画でした。1950年代後半からはこれに怪獣映画などの特撮路線、若大将ものなどの青春映画が加わりますが、いずれも家族づれやカップルをターゲットにした「誰にでも安心して見られる」ものでした。同社は今日に至るまで、ポルノやヤクザ映画をほとんどといっていいほど製作していません。

日活はアクション映画を代名詞にしていましたが、平衡して吉永小百合らの青春映画、文芸映画も大きな柱であり、東映ほど刺激を追わない、若々しい気風が売りでした。

松竹は東宝の健全路線からモダニズムの代わりに、戦前的古めかしさを加えた社風で、ホームドラマとメロドラマが柱です。60年代には怪奇映画やアクション映画も作っていますが、似合わないことといったらありませんでした。

撮影所にも色々あるんですよね。最近はCGばかりの映画ばかりで飽き飽きしています。
やっぱり日本映画といったら実写でしょう!